誰もが一度は耳にする「ハッピーバースデイ・トゥーユー」、実は、使用料が必要?ってご存知でしたか?
著作権は誰のもの?
この歌の著作権料で、ワーナーの関連会社(ワーナ・チャップルミュージック)は、毎年200万ドル以上を手にしているのだそうです。そして、2013年、この著作権を巡って、ある映画会社が著作権の無効を訴え、裁判を起こし、国際ニュースになりました。「ハッピーバースデー」という名のドキュメンタリーを制作しているこの映画会社は、ワーナーの要求を受け、使用料の1500ドルを支払ったのですが、しかし、よく調べてみると、こんなことが明らかになってきたのです。
1962年、ケネディー大統領へのバースデイソングを歌うマリリン・モンロー
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実は、期限切れ?!
そもそも映画会社の弁護団によると、「1893年に作られた、この歌の著作権は、法律に基づいて、1921年には期限切れとなった」のだそうです。「にもかかわらず、ワーナ・チャップルミュージックは不当にも、年間200万ドル(約22億)以上の著作権料を受け取っている」というわけです。
1893年、ヒル姉妹によって原曲「グッドモーニング・トゥ・オール」が発表され、その歌を人々が歌詞を変えて歌うようになり、現在の「ハッピーバースデー・トゥーユー」になった、というわけです。そんな裏話があったなんて!ですね。
ワーナー・チャペルは当時より、「グッドモーニング・トゥ・オール」の著作権を所有している、と主張。
しかし、このバースデイソングは作詞者不詳として、1900年代初めから広く世界中で使われており、1935年以前には、すでにさまざまな形で出版されていたのです。
にも関わらず、ハリウッドの映画会社や様々なイベントなど、使用料を取られ続けているというわけです。うっかりお店のサービスでハッピーバースデイと歌おうものなら?!ハイっ使用料、なんて納得いきます?
ヒル姉妹
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誰のための曲?
一方、原曲者のヒルさん姉妹は、コロンビア大学の幼児教育の専門家と共に、こども達が楽しむために曲を作っていたのだそうです。お金のためではなく。
そのヒルさん姉妹と人々の替え歌によって生まれ、70年以上も世界中で愛されてきたお祝の曲。映画会社は、「ハッピーバースデイ・トゥーユーを、みんなのものへ戻したい。ヒル姉妹がそうしたように」っと述べました。
で、どうなるの?
実は先日、2015年8月、ピッツバーク大学の図書館から新しい証拠が発見される、という急展開があったばかり!
監督のジェ二ファー・ネルソンさん
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新しい証拠は、The Everyday Song Book「1922年版」。実は、2年前に、ワーナー側から提出された証拠は、The Everyday Song Book「1927年版」。そのコピーは、部分的に画像加工のようなブラーが掛かって見づらく、あたかも音楽会社の著作権が記されてるように見えました。しかし、原告側は、その本が初版ではないことに気がつき、同じ本の旧バージョンを探したのです。
そして!つい先日、動かぬ証拠として、The Everyday Song Book「1922年版」がピッツバーグ大学の図書館から発見されたのです。弁護団によると、そこには「著作権の記載はなく、つまりシンプルに、今は誰のものでもない」と明らかになったそうです。
ハッピーバースデイは、国を超えた、共通言語になる。そんなすばらしい歌です。もう世界遺産ですよね。Merry birthday!